サマリー
自己を独立した存在として捉えすぎると、脆弱感や孤独感が強まり、不安感に陥りやすくなる。しかし、実際には私たちは家族、友人、地域社会と深くつながっており、このつながりが老後の幸福や健康に大きな影響を与えることが分かっている。
ハーバード大学の成人発達研究によれば、50歳時点で人間関係に満足していた人々は、80歳になっても最も健康であったことが示されている。特に、安定した夫婦関係や信頼できる友情が幸福感を高める要因となっている。職場での関係だけではなく、職場外でも友人を持ち、友情を育むことが重要です。
友情には時間や努力を必要とするが、その投資が豊かな老後を築くための鍵となる。さらに、夫婦関係だけに依存せず、複数の友人と支え合えるネットワークを持つことが、人生の質を大きく向上させる。友情はスキルであり、時間をかけて育てる必要があるため、意識して人間関係に時間を割くことが重要。
キーワード
- 取引の友情→快楽に支えられた友情→完璧な友情
- 部下や上司と完璧な友情を築くことは難しい?会社組織に属している場合、それ以外の場が必要なのかもしれない
- 配偶者以外の友人関係を築いておく必要がある
メモ
- 「自己」は独立した存在であるという考えに固執すると、脆弱感や不安感が増す
- 私たちは単独の存在のようでいて、実際には家族、友達、地域社会、国、そして世界全体と大きな根系を形成している
- 第二の曲線に移れるかは、この繋がりの有無が大きく影響する
- しかし、この繋がりを形成する事は簡単なことではなく、ストライバーは「一人で生きている」という幻想のもと成人期を過ごすため、気付いた時には根系は枯れ、まともに機能しなくなっている
- ハーバード成人発達研究
- 毎年、ライフスタイル、習慣、人間関係、仕事、幸福度について質問を行う
- 80年以上、継続して研究が続いている
- コホート
- ハーバード大学の学生(268人)
- ボストンの貧困家庭の若者(456人)
- ハーバード学生だけだと偏るので途中から追加
- 当初の参加者で健在なのは60人弱で、今は第1世代の子や孫が追跡調査されている
- 老後の質を幸福度と健康度の4象限でグループ化する
- 老後の質に影響を与えるもの
- コントロール不可
- 親の社会階級
- 幸福な幼少期
- 長寿の家系
- うつ病にならない
- コントロール可
- 喫煙
- 飲酒
- 健康的な体重
- 運動
- 適応的対処
- 問題に正面から向き合い対処する。過剰に思い詰めたり、不健全な情動反応をしたり、回避的な行動を取らない
- 教育
- ここで言う教育は、ハーバード大学に行く事ではなく、生涯を通して目的意識を持って学ぶこと、読書を沢山すること
- 安定した長期的な人間関係
- 夫婦関係である事が多いが、それに限らない。肝心なのは人生に何が起きようと、信頼して共に成長していける相手がいるかどうか
- 最も重要なものは「人間関係」
- 50歳の時の人間関係に満足していた人が、80歳時に最も健康だったことを研究結果が示している
- コントロール不可
- リーダーは孤独になる事が多い
- 孤独は感情的にも社会的にも孤立する体験
- 職場で監督権の配下にある相手と友情を育むことは難しい
- 部下は上司をモノ化する傾向がある
- 権力やお金を引き出す道具と捉える
- 上司を幼少期の権威者(例えば親や教師)のように扱いがち
- リーダーも部下をモノ化する
- 職場の友情は大事
- 70%の人が仕事を楽しむために職場の友情は最重要の要素と考えている
- 58%の人が給料が上がっても職場の人間と上手くやれない職場の仕事は断ると回答
- 孤独を和らげるために育てるものは人間関係
- 恋愛関係
- 結婚しているかどうかは、老後の幸福度に対して影響を与えない
- 充実感をもたらす密な家族の絆や友情が他にあれば未婚でも幸福になれる
- 大事なのは、激しい感情の浮き沈みのある愛ではなく、安定した愛情や相互理解、一途さに基づく愛が大事。心理学でいう「友愛」
- 配偶者を親友ともみなしている人の方が、結婚がウェルビーイングに及ぼす利益は格段に大きい
- ただし、夫婦関係が唯一の友情関係なってしまうのは良くないことを肝に銘じる
- 夫婦関係以外で親友を2人以上挙げられない人は夫婦関係の重要度が上がってしまうが、この状況は大きなリスクになる
- お互いの感情のほぼ全て夫婦間だけでケアしなければならなくなると、結婚生活に大きな負担がかかり、結婚生活の難局がより破滅的になり、その際に孤立しやすくなる
- 特に女性は家庭の外に友情ネットワークを構築する事が多い
- 女性がそういったネットワークに参加する事を男性は理解する必要がある
- 子供が自分と友情を築いてくれる可能性は低いのでそこに期待してはいけない
- 自分の成人以降を思い出せば、親とそのような関係を継続してきたのか分かるはず
- 子供には子供の人生があり、それに専念すべき
- 家族との交流は義務感から生じることが多いのに対し、友人との交流は主に喜びに動機づけられている
- 結婚しているかどうかは、老後の幸福度に対して影響を与えない
- 友情関係
- アリストテレスの説
- 取引(Deal)の友情(最下段)
- 感情的絆が弱く利便性に支えられている
- 友情は手段であり、お互いの仕事の成功など、達成したいことを助け合う関係
- 快楽に支えられた友情(中段)
- 一緒にいて楽しい、面白い、頭が良いなど行為や憧れによる繋がり
- 取引の友情よりは上段にあるが、基本的に友情が手段であることは変わらない
- 完璧な友情(最上段)
- 互いのウェルビーイングを願い利得を超えた善や美徳を目指せる関係
- 例えば宗教上の信念や大義への情熱などで繋がっている友情で、利便目的ではない
- 取引(Deal)の友情(最下段)
- 複数の友情が混じることもがあるが、たいていの場合は3つの友情グループに分けることができる
- 仕事優先の人は取引の友情が最多になる傾向が強い
- 非常時に電話をかけられる相手を想像する
- 配偶者は除く
- 2〜3人の名前をあげられなければ人間関係に問題が生じている
- 名前を挙げられた場合、最後にじっくり会話したのはいつか
- 完璧な友情作りには女性より男性の方が苦労する傾向がある
- 女性は一般的に社会的、感情的な支えを土台に友情を築くのに対し、男性は仕事など共通の活動を土台に築く傾向がある
- 女性は本当の友達になりやすく、男性は取引の友達になりやすい
- 女性は一般的に社会的、感情的な支えを土台に友情を築くのに対し、男性は仕事など共通の活動を土台に築く傾向がある
- 本当の友達の人数は、中年期以降の幸せに大きく貢献する要素であることは数々の研究により証明されている
- 沢山いる必要はないが、本当の友達がゼロや配偶者だけというのは駄目
- 友情はスキルであり、そのスキルを磨くには練習と時間、根気が必要
- アリストテレスの説
- 友情を育む活動が大事だが、それを阻む思考がある
- 時間がない
- 愛と友情を育むには時間がかかる
- 時間を生み出すには、他に使っている時間を友情を育むことに回す必要がある
- ストライバーの場合、減らすことになる時間は「仕事」の時間
- 本当の友情を育むために仕事を減らしたくないと感じる人は、優先順位のバランスが崩れてしまっている
- 依存行動の典型的な前兆は人間関係が他に何かに置き換わっていくこと
- 仕事依存症の場合は、新しい人間関係を育もうとする前に、まずは依存的行動に対処する必要がある
- 人間関係が枯れ切っていて、何から手をつければ良いか分からない
- 長期間、他者と親しい関係を構築してこなかった場合、そもそも関係構築するためのスキルが失われている場合もある
- この場合、まずは自分が他者とそういう関係を築きたいと宣言する必要がある。考えているだけでは変化は起きない
- 海外ではMen’s Shedというコミュニティがある
- 高齢男性たちが友情スキルを学び直すための並行遊びを提供する場
- それぞれが個別で何か作業をするが、分からないところを助け合ったりなど
- 徐々に交流が生まれ、友情になっていく
- 高齢男性たちが友情スキルを学び直すための並行遊びを提供する場
- 長期間、他者と親しい関係を構築してこなかった場合、そもそも関係構築するためのスキルが失われている場合もある
- きっと皆んなは私を許してくれない
- 長期間、家族を顧みなかった人はまずは直接謝罪することから始める必要がある
- ただし、謝罪することで相手が傷つく場合は除く
- 長期間、家族を顧みなかった人はまずは直接謝罪することから始める必要がある
- 時間がない
- 恋愛関係
- 人生を測定する
- あと何回子供の誕生日を一緒に祝えるか
- 具体的な事例で考えれば、時間の貴重さを身近に考えられるようになる
- 時間の貴重さが分かれば、優先順位のバランスを正すこともできる
- 優先順位のバランスが崩れるのは、時間が有限であることを忘れてしまっているから
- 満足する人間関係を構築しながら、仕事依存症の罠を避ける3つのワーク
- 終わりを意識して時間を割り振る
- 定期的(毎週や毎月など)に自分の葬式をイメージして、自分がどういう人だったと皆が語るか(語って欲しいか)想像する
- それを実現するために、翌週(翌月)の時間をどのように使うか決める
- 自分にしかできない役目を果たす
- 人間関係スキルが衰えている場合、自分の都合の良い時に自分が興味を持つことを家族や友人に与えようとする
- 企業が自分たちが売りたいものを消費者に与えようとするのと同じ(良い意味ではない)
- 関係を強化したい人をリストアップし、自分にしかできない(与えられない)ものを書き出す
- 妻
- 子供
- 友人
- ここに書き出したものを軽視すれば関係性は悪化する
- 人間関係スキルが衰えている場合、自分の都合の良い時に自分が興味を持つことを家族や友人に与えようとする
- 賢く投資する
- 例えば「子供が生きていく上で本当に手に入れて欲しいものを3つ挙げる」と考えてみる
- 「幸福」は大事だが、不幸も経験しないと幸福のありがたみも分からないし、人生経験が薄くなる
- 「お金」「権力」「名声」なのか?
- 「誠実」「思いやり」「信頼」?
- 自分自身が上に挙げた物に対して投資(時間、お金、エネルギーなど)しているか?
- 自分が模範を示せているか?
- 例えば「子供が生きていく上で本当に手に入れて欲しいものを3つ挙げる」と考えてみる
- 終わりを意識して時間を割り振る
- あと何回子供の誕生日を一緒に祝えるか
- 見返り
- 内発的目標(深い長期的人間関係から生まれる充実感)、外発的目標(お金、権力、名声など満足の方程式の分母を構成する要素)のどちらであろうと、目標設定した場合叶うことが多い
- 目標は慎重に決めようというのは、ここから来る
- ただし、内発的目標を掲げた人はその後も幸せな生活を送る場合が多いが、外発的目標を掲げた人は失うことによる恥や恐怖などのネガティブ感情が増加し、体調が悪化する場合が多い
- 外発的な目標が叶えばいつか幸せになるという希望は叶わないことが多いが、それを追求してきた結果、そういうスキルに長けているので外発的な見返りを求め続けてしまう
- パーティに出ている自分を想像し「あたなは何をしている人ですか?」と聞かれた時に、肩書きのような外発的な物ではなく、自分が最も目的と意義と喜びを得られそうな物を答える
- 自分の職業を答えるのではなく、例えば「妻で3人の成人した子供の母親です」などと答える。最初はそれを自分のしている事として答えるのに抵抗はあるかもしれないが、口に出し続ける事で現実になっていく
- 内発的目標(深い長期的人間関係から生まれる充実感)、外発的目標(お金、権力、名声など満足の方程式の分母を構成する要素)のどちらであろうと、目標設定した場合叶うことが多い
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