人生後半の戦略書 – 第4章 欲や執着を削る

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サマリー

西洋では財産や成功を蓄積することが幸福と考えられているが、東洋では物質主義や虚栄は幸福から遠ざかる行為と考えられている。

西洋の考え方では、次々と新しいものを手に入れていく必要があり、ホメオスタシスの働きから終わりのない快楽レースを走り続けることになる。

幸福を手に入れるには、自分の人生の目的(WHY)を意識して、幸福に繋がらない世俗的な欲や執着を意識的に手放していく必要がある。

キーワード

  • 自分一人の場合は全て自分の行動は全て自分に跳ね返るので良いが、家族がいる場合(特に小さな子供がいる場合)は、自分の行動が家族の将来にも影響を与えるので、世俗的な欲(特にお金)から離れる事は現実的なのだろうか?
  • 欲望が更に欲望を生み出すのは、今の資本主義社会を成り立たせる基礎の気がする

メモ

  • 西洋では損失を避け、より多くのものを蓄積することで成功と幸福を手に入れられる(と信じられている)
    • お金、成果、人間関係、フォロワー数、経験、財産など
  • 東洋では貧欲は物質主義と虚栄の種であり、その人の本質をぼやけさせ、幸福探しの旅を脱線させると考える
  • お金、権力、快楽、名誉という偶像は、偶像崇拝者をモノ化するだけで、偶像崇拝者の幸福願望を満たすことは無い
    • これらの偶像は所有するとその不十分さが一層はっきりとし、他のものを探す
  • 幸福を見つけるには何を削るべきか
  • 釈迦の悟り
    • 苦しみからの解放は、俗事を放棄する事で達成される訳ではなく、俗事への執着を捨てる事で達成される
      • 極端な苦行、過度な快楽ではなく、その中道こそが目指す道
    • 執着に対処するための指針(四諦(したい))
      • 人生は不満がつきものであり、苦である
      • その苦は俗事に対する渇望、欲望、執着から生まれる
      • 渇望、欲望、執着を排除する事で苦に打ち克てる
      • 渇望、欲望、執着を排除するには、八正道に従う事である
    • 八正道
      • 【1】正見(しょうけん)正しい見解。自己中心的な見方や、偏った見方をせず、正しい物の見方を心がけること。
      • 【2】正思惟(しょうしゆい)正しい決意。自己中心的な考えを捨て、貪瞋痴(とんじんち )の三毒(むさぼること、怒ること、迷い惑って理非のわからないこと)に惑わされず正しく考えること。
      • 【3】正語(しょうご)正しい言葉。妄語(嘘)、綺語(無駄話)、両舌(両方の人にそれぞれ相反することを言って仲違いさせる言葉、二枚舌)、悪口(あっく)(粗暴な言葉を使う、人をあしざまにののしること)をせず、正しい言葉使いを心がけること。
      • 【4】正業(しょうぎょう)正しい行い。貪瞋痴の三毒を離れ、正しい行いをすること。
      • 【5】正命(しょうみょう)正しい生活。世の中の為にならないことや、人の迷惑になることをせず、収入を得て、規則正しい健全な生活を送ること。
      • 【6】正精進(しょうしょうじん)正しい努力。正しく励み、努力をすること。
      • 【7】正念(しょうねん)雑念をはらった心の安定した状態。物事の現象にとらわれないで常に真理を求める心を忘れないこと。
      • 【8】正定(しょうじょう)精神を統一して心を安定させること。心の動揺をはらって、安定した迷いのない境地に入ること
    • この本の読者に当てはめると・・・
      • 世俗的な成功を通して世間からの見返りに満足を求めるようになったが、それではいつまで経っても満足に至らない。世間からの見返りに執着していると、見返りを得ても不満ばかりを覚え、見返りを得られなくなれば余計に苦しむ事になる。この問題を解決するには、執着を脱ぎ捨て願望を再定義する必要がある。
  • 「満足」の状態は継続しない
    • 満足とは「欲しいものを手に入れること」という誤った方程式で定義されている
    • 昇給・昇格する、美味しいものを食べるなど、一時的に深く満足するが、その満足感は続かずまた次を求めるようになる
    • ホメオスタシス
      • 「恒常性」と呼ばれ外部からの刺激に対して体内を一定の状態に保とうとする機能のこと
      • 満足が長続きしないのも、心理的なホメオスタシスによるものと考えられる
      • 依存症は、外部からの刺激が継続的に行われた結果、保とうとする基準値がおかしくなってしまった状態。アルコール依存で言えば、飲酒している状態が保つ基準になってしまい、飲酒していない状態が異常値になるため、アルコールを接種する事で一定の状態に保とうとする力が働く
    • 成功による満足は長続きしないため、また次の満足を探す。絶えず成功による快楽を追い求める状態になるため、これを「快楽のランニングマシン」という。
    • 満足とは「欲しいものを手に入れ続けること」が正しい方程式
  • 成功は相対的なもの
    • 数億円持っていても、所属しているコミュニティが数十億円持っている人ばかりだと自分を失敗者と捉えてしまう
    • 社会的比較は愚かで有害な行為。「隣人」と張り合う行為は、不安どころかうつ病の原因なることが明らかになっている
    • 成功とは「他人よりも沢山のものを持ち続けること」
    • 失敗とは「持っているものが減ること」
    • 「増やしたい」という衝動以上に、「減らしたくない」という抵抗感の方が強い
      • プロスペクト理論。人はあるものを得るより、それを失うことにはるかに敏感
  • 3つの方程式を成り立たせる限り、更なる世俗的な見返りを追い続けることになるが、そこには上限がなく、いつか能力の落ち込みから見返りが減少し辛い思いをする事になる
  • 新しい方程式「満足 = 持っているもの / 欲しいもの」
    • 世の中は「欲しいもの」を増殖させる手練手管で溢れている
      • スーパーのチラシ、テレビ、SNS、ECサイト、街の広告などなど
      • 企業が悪い訳ではなく、自らの欲望をコントロール出来ない自分の責任
  • 自分の生きる目的(WHY)に目を向ける
  • 人生のWHAT(今していること)に時間を費やしているが、WHYを大切にするにはWHATを削る必要がある
    • 大病を患った人はこの事を心から理解し、WHATを削る
  • 欲しいものリスト(バケットリスト)は不満足を作り出すツール
    • リストを作成すれば執着が湧き、世俗的な欲望を強化する
    • リストの項目が増えれば手に入れていないものが可視化されて余計不満になる
    • リストのものを購入すれば一時的に満足は得られるが、また次の満足を求めてリストを強化する無限ループになる
    • 物を買えば買うほど物が欲しくなる
  • リバースバケットリスト
    • 1. 誕生日に自分の世俗的な欲と執着を一覧(バケットリスト)にする
      • お金、権力、快楽、名誉の4分類に分けて書く
      • 正直に書く
      • 欲しくてたまらない物を書く
    • 2. 5年後に幸せに暮らしている自分を想像する
      • 家族に「今が本当に幸福で仕方がないよ」と想像の中でいう
      • そんな未来の生活のどんな要素が、幸福に大きく貢献しているかを書き出す
    • 3. 1と2のリストを比較し、バケットリストの中で幸福に貢献しない項目は手放す
  • バケットリストの利点
    • 達成したいリストを見て人生の残り時間を意識することで、時間の有限性、時間の使い方に目が向く

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