人生後半の戦略書 – 第3章 成功依存症から抜け出す

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サマリー

仕事(成功)依存症になると、自分や他者をお金や権力、職業的地位などの表面的な要素で測る傾向が強まり、人間性などを考慮しないモノとして扱うようになる。(モノ化)

自他をモノ化するようになると、人としての多面的な価値を見失い、幸福感が失われていく。また、仕事(成功)依存症の人は、自分の価値をお金や権力、職業的地位で測るため、それが失われていく事に強い恐怖心を抱き、更に仕事(成功)依存症が強化される事になる。

第1章にある通り、老化による能力の低下は避けられないため、依存症が強化され続ける事は自らを不幸に導く事になる。依存症を克服し幸福になるためには、自分をモノ化している評価基準(お金、地位、SNSのフォロワー数など)が下がる事を受け入れ、変化する事を誓わなければならない。

キーワード

  • モノ化とは、人間性を考慮せず表面的な特性(お金、権力、地位、SNSのフォロワー数など)で人を判断するようになること
  • 仕事(成功)依存症の人は、人をモノ化し、そのモノを強化していく事、強化された結果、周りから賞賛される事が目的になっている

メモ

  • 人は他人を身体的な美しさ、お金、権力といった1つか2つの煌びやかな特性に単純化しようとする。この行為を「モノ化」と言う。
    • 人間性を考慮せず表面的な特性で人を捉え「モノ」として扱う行為。「客体化」「対象化」とも言う。
  • 自分をモノ化してしまう事もあると言う事を人は忘れがち
    • 仕事が出来る自分
    • 身体的な美しさを持っている自分
    • お金や権力を持っている自分
  • 「モノ」が徐々に失われて行っても、それに執着するあまり、次の曲線に乗り移れない
  • 幸福になるよりも特別になる事を選ぶ人は依存症に陥っている
  • 依存症にも色々あるが、特にタチが悪く毒性の高い依存症は「仕事依存症」
    • 仕事依存症とは「絶え間なく働かなくてはならないと言う強迫観念または制御不能な欲求」のこと
  • 仕事依存症は仕事で成功している人ほど陥りやすい
    • 仕事依存症の人は悪循環に陥る
      • 人より多く働くことで成功する
      • 仕事のペースを継続しないと桁外れな生産性を維持できないと考える
      • 桁外れな生産性から得られる見返りは、落ちこぼれたくないと言う恐怖心を生み出す
      • 恐怖心は更に仕事に没頭する推進力になる
      • 仕事以外に時間が割けなくなり、失うものが出てくる
      • 残っているのは仕事だけなので、ますます仕事に依存する
    • 仕事依存症の診断方法
      • 設問
        • 自由にできる時間は仕事に充てる事が多いか?
        • 仕事をしていない時でも仕事の事を考えがちか?
        • 求めらている以上の仕事をしているか?
      • 仕事依存症かどうかに関わらず、一流を目指す人は上記の設問に対してイエスと答える人が大半
        • リストラされない必要最小限の努力では一流にはなれないから
        • 必死に働いていても、仕事を楽しんでいるのなら、それは仕事依存症ではない
        • しかし、楽しんでいる状況から仕事依存症に発展してしまう事も多い
      • 仕事依存症を炙り出す新たな設問
        • 仕事後に大切な人のために使うエネルギーを残しておけず、抜け殻になるまで仕事をしてしまうか?
        • 人の目を盗んで仕事をしているか?たとえば家族が出かけたら仕事に取り掛かり、帰ってきたら仕事の痕跡を隠すなど。
        • 仕事から離れて大切な人と過ごすよう提案されると、特別急ぎの仕事がある訳でなくても、不安になったり不機嫌になったりする。
    • 仕事依存症の人が本当に求めているのは仕事ではなくお金や権力であり、それに対しての世間からの承認、喝采、賞賛。
      • コカインからSNSまで、依存症に共通するのはドーパミンを刺激すること
  • 人のモノ化
    • 労働者として人をモノ化すると幸福が損なわれる
      • 職場でのモノ化の指標
        • 道具として利用されているか
        • 主体的行為者としてみなされていない
      • 職場でのモノ化は燃え尽き症候群、職場への不満、うつ病、セクハラなどにつながる
    • 自己モノ化
      • 自己モノ化とは
        • 相手の人間性を隅々まで考慮しない第三者的視点で自分を捉えること
        • 鏡に向かった時に、外見の良し悪しだけで不足感や無価値感を抱いたり、逆に満足感や幸福感を覚えたりすること
        • 仕事で言うと、自分の価値を仕事の成果や職業的地位で判断すること
      • 自己モノ化をすると、自尊心も人生の満足感も低下する
      • 自己モノ化の根底にはプライドの問題がある
      • 失敗への恐怖心
        • 失敗への恐怖心は完璧主義に陥る原因の一つになる
      • 社会的な比較
        • SNSで正確性に欠ける他者の成功と自分を比較することで自信を失う
      • 離脱症状
        • 成功依存症の人が第一線から退くと、ひどく苦しみ、会話の内容も昔の栄光ばかりになる
  • 克服の一歩を踏み出す
    • 成功依存症を炙り出す設問(Yesが1つでもあれば成功依存症)
      • 自分の価値は肩書きもしくは職位で決まると思っていますか?
      • 自分が成功しているかどうかの指標は、お金または権力または威信ですか?
      • 職業上の成功が終わった後の展開がはっきり見えてこない、または見込まれる展開に不快感を覚えますか?
      • 引退の具体的な予定はなく、働けるだけ働くつもりですか?
      • 職業上の成功によって人々に記憶されたいと思いますか?
    • 仕事も私生活もうまくいっている場合は、成功依存症を解決しないと、次の曲線に移ることはできない
    • 自分が問題を抱えていると素直に認め、今までのやり方ではもう通用せず、変化する事を誓わないといけない
    • 幸福になりたいなら「世間から見た自分の特別度が多少下がる事を受け入れて、自己モノ化をやめたい」「肩の荷を下ろしたい」と宣言しなければいけない
      • 特別度は人によって様々
        • 家や車
        • お金
        • SNSのフォロワー数
        • 有名人の知り合い
        • etc

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